2018年。今や世界一CDが売れる国となった日本ですが、身近でCDを買ったという話はなかなか聞かなくなったという方も多いことでしょう。30代以上の方であれば、CD全盛の時代を過ごされていたことでしょうから、今でも自宅にCDがたくさんある方もいらっしゃるかもしれません。
CDに多く触れてきた方であればご存知かと思いますが、CDの収録時間は74分42秒です。すごく半端な時間で、疑問に思ったことはありませんか?CDの規格が決まったのは1980年ですが、この尺になったのには理由があるとされています。
それが、ベートーベンの「交響曲第9番」(いわゆる第九)が1枚に収録できるかどうか、だそうです。
当時CDの国際規格を争っていたのがオランダのフィリップス社で、彼らの規格は60分とキリの良い数字。ディスクの大きさ・対応周波数・ビット数含め勝負は拮抗していたそうですが、決め手になったのがこの時間尺だと言われており、ソニーはクラシック曲がなるべく1枚に収まる重要性を考慮し、74分42秒に設定すれば世の中の95%以上の楽曲を収録できると考えたのだそうです。実際これが決め手になって、ソニーのCDが国際規格に採用されたと言われています。
これって実にユーザー目線に立ったものづくりだと思いませんか?60分と言った説明しやすいキリの良い数字は、実際ユーザーにとってはあまり意味のないことで、やはり聴きたい曲ができるだけ少ないCD枚数に収まっていた方が圧倒的に使い勝手が良いわけです。
ソニーが、日本メーカーが強かった時代。日本のものづくりはこのようにユーザーの使い勝手を第一に考えられていたのでしょう。近年、外国メーカーに押され気味の日本メーカーですが、日本人が持つ思いやりをベースに、圧倒的なユーザー目線に立ってものづくりをすれば、再び世界を席巻する日が来る可能性があるかもしれません。
【朝礼ネタ vol.094】